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本文へジャンプ 平成19年1月1日 
             

 



― 閑 話 休 題 (症例編 3) ―

 症例3) 副腎腫瘍 褐色細胞腫 (その1) 

某年3月 1人の女性が当院を受診されました。

主訴は、動悸で、近医にて高血圧の治療を行っているとのことでしたが、改善せず、当院を受診されました。 
血圧は 210 / 120 mmHg、 脈拍 145 / 分。 
心電図は、心室性期外収縮を伴う洞性頻拍でした。 
甲状腺は触知しません。

早速、エコーで甲状腺と副腎を調べますと、右副腎に腫瘍が認められました。
(甲状腺の大きさは正常でした。) 副腎腫瘍の指摘は初めてでした。


頻脈を伴う異常な高血圧で、受診される場合、”甲状腺機能亢進症” か”褐色細胞腫”を疑います。
いずれも、医師国家試験の常連疾患で、おそらく医師なら誰でも知っている病気です。
但し、”甲状腺機能亢進症”はありふれていますが、”褐色細胞腫” の頻度は極めて少ないので、その医師一生涯の診療で、経験するかどうかわからない程度のものです。、


いずれの疾患も、血液検査を施行すれば、見当は付きます。 
当然のことながら、当方も施行しました。
甲状腺機能は正常。
カテコールアミン アドレナリン 0.13 ng/ml (正常: 0.10 以下) と高値。
ノルアドレナリン 1.31 ng/ml (正常: 050 以下) と高値。
しかも、臨床症状と副腎腫瘍の存在で、「褐色細胞腫」確定!!
しかし、滅多にお目にかからない病気ですから、こんな症例に巡り合うなんて本当にラッキーと思いました。


当然のことながら、専門病院を紹介し、手術となったのですが、結果は、
”非機能的副腎腺腫”との診断で、”褐色細胞腫”ではありませんでした。
ご本人は、多少血圧は下がったものの、まだ高血圧の内服治療が必要です。
教科書どおりには行かないものです。

 症例3) 副腎腫瘍 褐色細胞腫 (その2) 

そうこうしているうちに、

某年 2月 再び別の1人の女性が当院を受診されました。

主訴は、イライラ感と頭痛、不整脈で、近医を受診しましたが、あるところでは、うつ病といわれ、あるところでは高血圧といわれ、耳鳴・難聴もあり耳鼻科でも診てもらったが異常なしとのことで、当院を受診されました。

血圧は 192 / 100 mmHg、 脈拍 110 / 分。 
心電図は、洞性頻拍でした。 
甲状腺は触知しません。

早速、エコーで甲状腺と副腎を調べますと、右副腎に腫瘍が認められました。
(甲状腺の大きさは正常でした。) 副腎腫瘍の指摘は初めてでした。


当然のことながら、今回も血液検査を施行しました。
勿論、甲状腺機能は正常。

カテコールアミン アドレナリン 0.20 ng/ml (正常: 0.10 以下) と高値。
ノルアドレナリン 1.38 ng/ml (正常: 050 以下) と高値。

しかも、臨床症状と副腎腫瘍の存在があり。
今度こそは、「褐色細胞腫」確定!! と思いました。


当然のことながら、専門病院を紹介し、手術となったのですが、結果は、
”非機能的副腎腺腫”との診断で、”褐色細胞腫”ではありませんでした。
ご本人は、多少血圧は下がったものの、まだ高血圧の内服治療が必要です。
またしても、教科書どおりには行かないものです。
私は、”褐色細胞腫” とは巡り合えない運命の”医師”なのでしょうか?

褐色細胞腫 の説明

〔頻度〕
高血圧患者10万人に対して1.4人程度と推定されている。
男女差はなく,30〜50歳代に多い。
10%は両側副腎に、10%は副腎外に、10%は小児例に、10%は家族内に、10%は悪性と、約10%の頻度でそれぞれの特徴がある。

〔臨床症状〕
高血圧、頭痛、発汗、高血糖、代謝亢進。
頻脈、顔面蒼白、四肢冷感、手指振戦、やせ、腹痛、悪心・嘔吐など。

〔検査所見〕
血中カテコールアミン(エピネフリン、ノルエピネフリン)の高値。
尿中カテコールアミン代謝産物の高値。
薬剤負荷試験でもノルエピネフリンや血圧の低下を認めない。
副腎腫瘍の証明。
メタヨードベンジルグアニジンシンチグラフィーによる取り込みがある。

〔治療〕
腫瘍の摘出が第一。
降圧剤(α1遮断薬やαβ遮断薬)を用いる。

〔参考文献〕 今日の診療プレミアム Vol.15



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