
| 題目1) よい医師の見分け方(1) 患者からみた場合 |
患者から評判のよい医者と医師として評価の高い医者
「患者様から聞かれる医師の評判」 と 「医師が評価する医師の評判」とは異なっていることがあります。
前者は概ね、「”医師”としてというより”人”として、性格がよかったり、人当たりがよかったりする医師」で、後者は「勉学や修練に勤しんだり、豊富な診療経験をつんだ医師」と思われます。
勿論、両方を兼ね備えたすばらしい医師もいらっしゃると思いますが、残念ながら両者とも欠落しているといわざるをえないような医師もいるとも思います。
「医師という職業人として良い医者が、即ち患者受けの良い医者」であれば、よいのですが、なかなかそうはうまくはいきません。
そこで、私なりに考える「患者受けのよい医者」と、「医師という職業人として良い医者」の像を論じてみたいと思います。
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患者受けのよい医師
さて、「患者受けのよい医師」とは、
@ 夜間でも、診療時間外でも診てくれる。
A 口調が優しく親切で、ゆっくり話を聞いてくれ、常に愛想がよい。
B 何の病気でも診てくれる。
C こちらの注文通りの薬をいつでも処方してくれる。
D プレゼントを送ったり、診療報酬の自己負担分をとらない。
といったところでしょうか。
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医師という職業人として優れた医師
一方、「医師という職業人として優れた医者」(特に診療所の医師として・・・)とは、
E 患者からの質問に対して、常に適切な解答ができる。
F 自分の限界を知り、自分の専門外であったり、近くに専門医がいる場合は、潔く患者に転院を薦められる。
G 患者の既往や背景を吟味した上で、処方や投薬を考えられる。
H 患者の不利益となる医療行為や不適切な検査は行わない。
I いわゆる誤診が少ない。
といったところでしょうか。
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医師を吟味する
「患者受けのよい医師」として、
@,A に関しては、批判のしようがなく、私も、立派で尊敬できる方と思われます。
B は、無医村などでは、それでよいと思いますが、今日のように、少し行けばどこにでも医療機関があるような時代・地域では、私は不適当だと思います。
「何の病気でも診ることができる」とは、「何の病気も適当にしか診ることができない」の裏返しです。
”患者としての貴殿” がそれで納得しているのであればよいでしょうが、「何でも診てあげるよ」という医師の甘い言葉を鵜呑みにしているのであれば、再考してください。
C も、「事なかれ主義」の医師と思います。「患者から気に入られればよい」とか「報酬目的だけ」で、「医学的な必要性・必然性」を考慮せずに薬を処方することは、医師としては不的確だと思います。
むしろ、多少、患者と煩わしい関係になったとしても、きっぱり「必要でない薬」、「使用しない方がよい薬」に関しては、処方せず、毅然とした態度で臨んでいる医師の方を私なら信頼します。
D も、プレゼントをあげるのは勝手ですが、そもそも医療とは異なるもので、私には「人気取りの一環」としか思えません。 また、「診療報酬の自己負担分を免除する行為は公に許される行為」ではなく、これを「赤ひげ」気取りで行ってよいというものではありません。
一方、 「医師という職業人として優れた医師」として、
E〜J に関しては、なるほどとわかっていても、実際の診療現場でどのように評価すればよいのか、患者様には難しいことかもしれません。
そこで、1つ1つに実例を挙げてみますので、検証してみてください。
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こちらの質問に対して解答できる医者か。
E 患者からの質問に対して、適切な解答ができるか。
これは、ご自身の個人的な質問を行う前に、まず、総論的な質問をその医師に行ってみることです。
患者個人の事例に対する回答は、患者自身はその答えが妥当なのかどうかわかりません。
そこで、「家庭用の医学の本」や「インターネット」や「新聞の医療コラム」などで仕入れた情報で、あらかじめ自身の知っている答をわざと質問してみることです。
これで、十分納得いく回答のできる医師は、まずは合格ではないでしょうか。
少なくとも標榜を掲げている科に関連する質問に対し、素人である患者様が理解できるような家庭医学の知識すら回答できないようではまず、恥ずかしいと思われます。
質問に答えられずに、むきになって反対に詰問するような医師に対する評価は自ずとわかるでしょう。
但、「新聞の医療コラム」には、よく間違った記載や誇張表現がありますので注意してください。
潔く患者に転院を薦められるか。
F 自分の限界を知り、自分の専門外であったり、近くに専門医がいる場合は、潔く患者に転院を薦められる。
これは、わかりやすいようで実はわかりにくい評価です。
長期間その診療所に通院していた貴殿が、ある時、医師の方から転院を薦められるようであれば、その医師は貴殿の病状を考えてのことだと思います。
唯、通院中には医師がその患者のことを快く思っていない場合もあり、厄介払いで紹介するケースもありますから注意が必要です。
まず、1回の診療で、常に15分以上話し込む患者や、常に苦情をいう患者は医師から嫌がられる存在です。
自身がそのような患者で、転院を薦められる場合は、後者のケースである可能性はあります。
勿論、「長時間、話し込むな」とか「苦情をいうな」といっているわけではありません。
そのような患者にも適切に対応できるのも医師の資質だと思います。
また、「他の医療機関を受診したい」といったときに快く、診療情報提供書を記載してくれる医師も、よい医師かもしれませんが、むしろ、その診療情報提供書の記載内容がしっかりしている医師を評価します。
これは、提供書を受け取った医療機関側の医師にそれとなく聞かれてみればよいと思います。
情報提供書は、医師が、患者自身をどれくらい丁寧に診ていたかを証明する1つの試金石として評価できます。
(診療情報提供書については後述で詳細に説明します。)
患者の既往や背景を吟味した上で、処方や投薬を考える。
G 患者の既往や背景を吟味した上で、処方や投薬を考える。
前医での処方や常用薬を問い合わせず、処方を行う医師は全く評価できません。
また、例えば、生活習慣病に属する疾患(高血圧症、糖尿病、高脂血症など)に対し、少し数値が高いからといって、生活指導(食事療法や運動療法の内容説明または自宅での健康管理の方法)をおこなわず、いきなり投薬を開始する医師も評価できません。
生活習慣病は、症状に乏しく、適当に薬を出しても大きな間違いはないので、安易に処方します。
特に外科系の医師にはその傾向があります。
このような医師は、本質的病態を理解しているとは思われません。
生活指導を行うことは厄介なことですが、これをきちんと説明する医師でないと信頼してはいけません。
生活習慣病の患者は、定期的な通院や治療を継続する必要があるので、医療機関にとっては、(経営を維持するという観点からは)非常に有りがたい存在の患者様です。
患者様の方も惰性的にならず、きちんと指導・評価をされているのか再考してください。
(例:自宅血圧測定を薦めているか。その評価を受診毎に行っているか。 食事のカロリー、塩分摂取量などの説明を受けているか。 どのような運動療法がよいのか説明を受けているか。 運動能力に対する評価を行っているか。 合併症の評価を定期的に行いその説明を受けているか。など)
上記の説明をきちんと行っていない医療機関でも、恐らく、貴殿は、きちんと毎月々、指導管理料をとられていることと思います。
患者の不利益となる医療行為や不適切な検査は行わない。
H 患者の不利益となる医療行為や不適切な検査は行わない。
いたずらに、自身の診療所にある高額な機器で、検査を行う医療機関は、怪しんだ方がよいと思います。
(特に、CTやMRIなどをすぐに薦める医療機関には注意。CTやMRIは、医師が直接時間を割かなくてもできる検査であるので、稼働すればするほど儲かります。 また機器を導入する費用が高いので、それを回収すべく、不必要と考えられても、つい行われがちです。)
また、CTやMRIは、機器の性能によって画像が大きく違います。
古い機種では画像の質が悪かったり、技師の技術力の差で良質な画像が得られなかったりします。
しかし、診療報酬(患者さんが支払うお金)は変わりません。
画像は、コピーが可能ですから、できれば、自身で所持されて、他の医療機関で再度、読影してもらえば確かです。
(コピー代は自費となりますので費用は、その分だけ高くなりますが・・・)
その際に、画像の評価も他の医師から聞いてみられるとよいと思います。
内視鏡検査や超音波検査は、医師がその検査に時間を割かれますので、CTやMRIほど、診療効率のよい検査ではありません。
(医師が割く時間や手間の割に医療機関の儲けが少ない)
それで、これらの検査を薦める医療機関はここでの評価の対象外と考えてください。
但し、内視鏡検査も、現在は、フロッピーディスクなどへの保存が可能ですから、そのコピーをもらったりして、他の医療機関で再度、読影・評価してもらえば確かです。
この際に、情報提供を渋る医師は、「傲慢な医師」か「検査に自身のない医師」と評価すればよいと思います。
超音波検査に関しては、撮影した画像を他の医師が評価するのはなかなか困難な場合があります。
当院では、超音波検査の所見もフロッピーディスクでコピーして渡すことができますが、これはまだ、他の医療機関では困難な場合が多いです。
また、他の医師が撮影した画像を読影することは、CTやMRIの画像を読影することと比較して、客観性に乏しく、困難です。
超音波診断は、医師の技術力がものをいいますから、腕のいい医師のもとで行うことを薦めます。
超音波検査で腕のいい医者とは?
肝臓癌の発見率とか数が公表されればよいですが・・・。
腕前ははっきりいってわかりません。
但し、未熟度の程度は逆算して、ある程度判断できます。
症例数は、一般の診療所なら、年間200例程度と考えます。
(特に検診専門や超音波専門として開設されていなければの話ですが・・・。)
病院勤務ですと、1医師で、年間1000例近く行うでしょう。
経験数、3000例程度行えば、それなりと思います。
超音波検査が、一般診療所に導入されるようになったのは約15年前からです。
従って、15年以上前に診療所を開業した医師が施行する超音波検査は、怪しいと思われて、よいかもしれません。
但し、こればかりは、施行者の感性、技術力にもよりますので、必ずしもこの指標があたっているともいえないので了解してください。
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誤診が少ない医師。
I いわゆる誤診が少ない。
誤診の少ない医師が優秀なのは、誰にでもわかります。
しかし、これを評価するのは難しく、医師の誤診もありますが、患者様の誤解もあります。
例えば、風邪で受診し、治らないからといって、別の医療機関を受診し、「肺炎」になっていたので入院を薦められる場合です。
これは、疾患の経過として初診時は、普通の風邪で、再診時は肺炎であることがあります。
急性疾患の場合は、初期では、所見が揃わずに診断できなくても、後に所見が揃って診断できる場合がありますので、初診時の医師が、『誤診したのか』、『経過として妥当なものなのか』、『肺炎の可能性を認識していても病状的に経過観察できると判断したのか』は、わかりません。
また、病状の経過があるだけ、後で診断する医師の方が、正診率は高くなります。(なるはずです。)
「仏の顔も3度まで」といいますが、3回受診して、経過が思わしくなければ、担当医を変更するのは仕方ないでしょうが、1−2度の受診では、評価が困難と思われます。
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前医を評価すること。
「医師の鉄則に、前医の批判をするな」という不文律があります。
これは、(1) 医療紛争の原因となる。 (2) 批判された分は、自身にも振り返り、批判されることになる。 等の理由です。
いずれも、医師側の保身的な要素で、患者の立場に立った見解であるとはいえません。 が、一方で、医師には、「自分はこうだ(偉いんだ)」という意識のある人もあって、逆に「前医の批判ばかりをする医師」もあります。
私が、内心で、前医を評価する基準として、「診療情報提供書」があれば、その記載内容で判断します。
診断の根拠がきちんと示され、その経過をきちんと記してある「診療情報提供書」を頂けば、評価が高く、その処方は継続するでしょう。
一方で、惰性的な処方を行っている医師や、医学的価値のない「診療情報提供書」を送られる医師は評価しません。
また、基本的に、前医の投薬が少ない場合、その医師は評価をします。 逆に、多くの投薬を行っている場合、その処方根拠を明確に示していない場合においては、その医師を評価いたしません。
私自身が教えていただけるような(勉強になるような)内容を記載した「診療情報提供書」を是非、いただきたいものと思います。
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この続きは、題目2) よい医師の見分け方(2) 医師からみた場合 でお話します。
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