
| Q3. 診療所の標榜について ・・・ 選び方と受診の心得について |
医院の看板には診療科(内科、外科、小児科など)が標榜されています。
1つの診療科だけの場合もあれば、多数の診療科を標榜しているところもあります。(例えば、「眼科」だけであったり、「内科・整形外科・外科」など多数の診療科を標榜したりしています。)
実際その医院が何の専門なのかよくわからないこともあります。
診療科の標榜はどのようにして決まる(決める)のでしょうか。
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〔解 説〕
診療所で標榜する診療科は、そこで勤務している医師が、勝手に決めて良いもので、何の制限も制約もありません。
例えば、眼科を専門にしている医師でも、標榜したいと思えば、その医師の判断で、眼科のみでなく、外科でも内科でも小児科でも自由に標榜することができます。
勤務医時代に内科の病気(内科の患者)を診たことがなくても、自身が診療所を開院する際に、内科を標榜したければできるのです。
これを公に否認することは誰にもできません。 保健所に届ければそれでOKです。
これは、僻地や診療所が少ない頃に、専門以外でも診てあげることができれば、地域の住民サービスになるという側面もありました。 また、「○○科専門」といっても、あくまでその医師の自称であり、専門性を誰がどのようにして評価・認定するかという問題もありました。
しかし、最近は医師の数も充足し、診療所も乱立する時代になっています。
そこで、「専門科以外の標榜は、受診患者を惑わす原因」 と考えられるようにもなってきました。
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最近、専門医の広告が可能となりました。
これは、診療所の看板に「○○科専門医」などと標榜することができるようになったということです。
「○○科専門医」という表記は、それぞれの学会で認定する専門医資格を有した医師が、表記することが可能となっています。
したがって、「○○科専門医」と表記されている場合は、認定を受けた専門医がいるものと考えられます。
「○○科」という標榜は、医師なら誰でも可能ですが、「○○科専門医」という標榜は、厚労省が認定した学会の認定医のみが標榜できることになっています。
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但し、認定専門医制度も問題がないわけではありません。
専門医の取得条件は、大学病院などの勤務年数が多い医師に有利で、地方の病院勤務や診療所の医師が取得するのは困難です。
特に、取得に関しては、指導病院での研修実績と、学会発表などの実績が必要ですので、我流で研鑽したり、専門医以上の知識や経験があったとしても、それだけでは取得条件は満たされません。
また、一旦取得した専門医資格を維持するには、毎年、学会へ参加が必要となります。
これには、「医師から参加費を募り、学会の資金運営を円滑にするため」といった側面もあります。
したがって、商業主義的な学会の側面に対し反発される方もあり、あえて専門医認定を受けない専門の医師も多数います。
つまり、専門医を取得していない医師でもその分野に優秀な医師もいれば、専門医を取得していても、実際の診療患者数が少なく臨床医としての経験に乏しい医師もいます。
また、学会への参加を強要されるので、多数の専門医資格を所持したとしても、それを維持することは困難です。
(診療所の医師なら1つの専門医を維持するために、平均年1日の休診を必要とします。 したがって、診療所の医師が、3つ以上の専門医資格を所持し、維持することは極めて困難と考えます。)
「○○科専門医」の標榜は、「似非的」標榜をする診療所よりは、信頼できると思いますが、必ずしも「絶対的な信頼」をおくものではないことも付け加えたいと思います。
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さて、看板の標榜で何科を専門としているのか見分ける方法はあるのでしょうか。
次のような方法で、検討してみてください。
以下で述べる専門診療科とは、学会の認定専門医を示すのではなく、その医師自身が、専ら勤務医時代に経験してきた診療領域がどこなのかを推測するのに必要な原則論を展開します。
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(1) 大原則
現在の医療研修システムでは、1つの医局に在籍して、その医局の派遣医として勤務医を経験し、その後、開業している医師が大半です。
従って、在籍医局の診療科が専門であるという大原則があります。
つまり、1人の医師につき1つの専門科(医局)が、大原則です。
これに相当する標榜科とは、「内科・外科・小児科・産婦人科・皮膚科・泌尿器科・眼科・耳鼻咽喉科・整形外科・麻酔科・放射線科・精神神経科・脳神経外科」です。
また、これらの標榜科には、それぞれの学会があり「専門医制度」を確立し、「専門医」を認定していますが、原則、兼任することはできないシステムとなっております。(診療実績が伴っていても、2つの専門医を同時に取得(標榜)できないということです。)
したがって、上記診療科の中で、1人の医師が2つ以上標榜しているときは、1つは正味の専門かもしれませんが、それ以上は専門ではありません。
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(2) 中原則
「胃腸科・消化器科・循環器科・呼吸器科・内分泌科・神経科・血液科・リウマチ科・アレルギー科・腎臓病科・糖尿病科・肝臓病科・リハビリテーション科など」 などの診療科は、その医師の専門としている分野を標榜している可能性が高いので、(1)の診療科の標榜より、(2)の標榜診療科の方が、その診療所の特徴が出ている可能性が高いと思われます。
また、 (1)の診療科は、標榜の有無で、診療報酬に影響が出る場合があり、専門でなくても標榜している医療機関はありますが、(2)の診療科は標榜しても診療報酬に対するメリットはありません。
(注 : 例えば、整形外科の診療所が内科を標榜する理由の1つに、整形外科特有の疾患では指導管理料を算定できないが、内科疾患では算定できることが多いためという場合がある。)
(2)で列記している標榜科にも、それぞれ関連する学会があり、「専門医制度」を確立し、「専門医」を認定していますが、これらは、(1)の「専門医」とは異なり、いくつでも取得(標榜)することができます。
但し、維持することは大変なので、せいぜい1つか2つの追加である。
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(3) 小原則
(ア) 標榜科の羅列順序で推定します。 つまり、最初に提示している診療科が専門です。(但し、内科を最初の診療科としている診療所の医師は内科が正味の専門でない場合があります。)
(イ) 「麻酔科、放射線科」医局出身の医師は、これらの標榜診療科はインパクトが少ないため、「外科、内科」を標榜することが多いです。
(ウ) 「内科」専門の医師は、「外科・整形外科・産婦人科・皮膚科・眼科・耳鼻咽喉科・整形外科・麻酔科・泌尿器科・精神神経科」を標榜することはほとんどありません。 逆に、上記の診療科のなかに「内科」を含めて標榜している診療所があれば、内科の専門医である可能性は少ないと考えます。
(エ) 「皮膚科・眼科・耳鼻咽喉科」専門の医師は、「内科・小児科・外科」などを併記標榜することはほとんどありません。 これらは診療医が少なく、他の標榜科を掲げなくても、受診される患者が多いことと、実際には、専門科の研修のみであることが多いため、他の標榜を掲げることは誤診のリスクが大きいためです。
逆に言うと、正味の専門分野だけで勝負できる医師ということになります。
(オ) その医師が今までの自分の診療に対し、自身と誇りを持ち、その領域の専門性を生かした診療を行いたいという理念があれば、「内科・外科・小児科・産婦人科・皮膚科・泌尿器科・眼科・耳鼻咽喉科・整形外科・麻酔科・放射線科・精神神経科」の診療科は1つしか挙げていないはずです。
(カ) 「産婦人科・泌尿器科・眼科・耳鼻咽喉科・麻酔科・精神神経科」は、専門性が高く、他領域の医師はほとんど標榜しません。 つまり、診療科として併記されることは少ないので、これらの診療科を掲げている医療機関は、その診療の専門と考えることができます。
(キ) 逆に「内科」は全ての診療科で併記される可能性があります。 恐らく、「内科」を標榜している診療所医師の半数程度は、勤務医時代、病院で””内科医”として診療に携わったことのない医師(内科での入院患者をほとんど持った経験のない医師)と思われます。
(ク) 「小児科」は、「小児科」のみ掲げている診療所は、良心的で、その診療所は小児科が専門と思われます。
(ケ) 「産婦人科」と「小児科」が併記されている場合、その診療所に医師が1人しかいなければ、専門は「小児科」ではなく、「産婦人科」です。
(コ) 「内科・小児科」併記の場合、その診療所に医師が1人しかいなければ、「内科」が専門か「小児科」が専門かは区別できません。 ただ、(エ)の記載と同様で、小児科医は少ないですから、「小児科専門医」は、「内科」を標榜しなくても患者さんの数は多いでしょうから、むしろ、併記の場合は「小児科専門医」ではない可能性のほうが高いと思われます。
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(4) 例外則
医師の研鑽は、勤務医時代の経験で終わるものではありません。
診療所における診療においても、そこで症例経験を積み、学会や研究会への参加などで研鑽することは可能です。(むしろ、そうしなければならない。)
したがって、出身医局の診療科が専門ではなく、診療所で経験する症例の多い診療科が即ち専門診療科といわれる医師もおられます。
現在は、インターネットなどでいろんな医療情報が入手されます。
特にこのホームページを見られるような方は、少なからず、医学的知識や情報を手に入れたいと思われる方でしょうから、素朴な疑問を医師に対して投げかければ良いと思います。
そして、「内科」を標榜しているのに「内科的なこんな質問にも答えられないのか」と思われるようであれば、「さしたる内科」ではないとご自身が、判断されればよいと思います。
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標榜は医師の自由、評価は患者さんの自由です。
ただ、残念に思うのは、そのような選択をうまく行えない患者さんも実に多いことです。
どのような医師でも、恐らく自分の専門分野の患者さんを診ることを好むでしょう。
受診される患者さんも少しは心してください。 ある医療機関に通院中の方が、他の医療機関を受診される場合においても、その医療機関の専門以外の分野で他科を受診されることに対しては、医師にも不快感はないと思います。
しかし、専門科に対して、その分野に対する治療を他の医療機関に求める場合は、前医の面目にかかわりますので、「平気でそのような発言をされることは」 信頼関係にひびが入りことも考えてください。
前医とのかかわりを絶つ覚悟があるつもりならそれでもいいですが、万一、ご自身で信頼できないと思われても、近くの医療機関を受診される場合は、配慮されることがよろしいかと思います。
むしろ、信頼できないと思われた場合は、「ほかの先生の意見も聞きたい」などと申されて、他の専門病院への紹介を依頼する方が賢明です。
その医師の専門分野であれば、他の医療機関の状況もよく存じているはずですので、貴殿が勝手に行くよりも、より適切な医療機関を紹介していただける可能性が高いものです。
紹介いただけないような場合は、それこそ見切られればよいと思います。
どんなに優れた医師であっても、100%ということはありません。 紹介を拒むような医師は、たとえ優秀であったとしても傲慢であり、全面的な信頼のおける医師ではないと考えてよいと思います。
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